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糖尿病とインスリンの密接な関係 インスリンの分泌は多いほうがいいの?

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「糖尿病にはインスリンが関係している」ということは、なんとなく知っているけれど、具体的にインスリンがどういう役割を果たしているのかご存じですか?

糖尿病の原因は、インスリン不足だと説明されることもありますし、インスリンの分泌が多すぎることが問題だと言われることもあります。

どちらが正しいのでしょうか?

今回の記事では、糖尿病と密接な関係のあるインスリンの役割について、わかりやすく解説します。

インスリンの話に入る前に簡単に糖尿病について説明します

糖尿病は一言で言うと、身体が糖をうまく使えず、血液中の糖分が高くなり過ぎる病気です。

その結果として、尿から大量の糖が排出されます。尿から糖がたくさん出てくることを糖尿病と思われている方もいらっしゃいますが、それは現象に過ぎません。

問題は、糖をうまく使えていないこと、専門用語で言うと「代謝」が正常に行われていないことです。

糖は脳や筋肉を動かす身体の重要なエネルギー源ですが、代謝が行われないと、外部からいくらエネルギーを摂取しても、身体がエネルギー不足となってしまいます。

糖の代謝に重要な役割を果たしているのがインスリン

身体を維持していくのに、絶対不可欠な糖の代謝に深く関わっているのが、インスリンです。

インスリンは、膵臓(すいぞう)のランゲルハンス島(すい島)という場所で作られ、血液中に分泌されるホルモンです。

私たちは、食べ物で外部から糖分を摂取すると、血液を通じて、身体の各細胞にそれを送り込みます。

しかし、細胞は異物の摂取を防ぐため、普段は細胞膜によって守られています。細胞膜が閉じたままだと、糖分を細胞に取り込むことはできません。

この時に活躍するのが、インスリンです。

インスリンは、言わば糖分のメッセンジャーのような役割をしていて、インスリンが細胞膜に近づくことによって、糖分を運んできましたよとお知らせするのです。

インスリンが細胞膜に近づくと、細胞は、細胞膜に糖分専用の穴を開けてくれて、そこから糖分が無事、細胞内に到達することができます。

もし、インスリンがなければ、細胞は糖分を取り込むことができず、血液中に糖分が溢れかえることになります。これが血糖値が高いという状態です。

糖尿病の原因はインスリンの働きが悪いこと

ここまでお読みいただいて、既にお分かりいただいているかも知れませんが、「糖尿病=血糖値が高い」の原因は、インスリンの働きが悪いことです。

糖尿病のタイプにはいくつかありますが、日本人の糖尿病患者の約95%は、「2型糖尿病」と分類されるインスリンの働きの悪さによるものです。

「インスリンの働きが悪い」とは次のようなことを指しています。

・血糖値が上がっても、インスリンの分泌が遅れる。

  • インスリンの分泌量が少ない。
  • インスリンが分泌されても、正常に機能しない。
  • インスリン受容体の感受性が低く、うまく機能しない

このように、糖尿病患者はインスリンの働きが弱いため、「インスリン注射」によって、インスリンを外部から補うことになります。

4つ目のインスリン受容体の感受性については、別記事でご紹介したいと思いますが、簡単に言えば、インスリンからのメッセージを受け取る細胞内の受容体の働きが悪いということです。

インスリンが、「糖分が来ましたよ」とお知らせしても、そのメッセージを受け取ってくれないと細胞膜は開いてくれないのです。

日本人は遺伝的にインスリンの働きが悪い

日本人は、遺伝的にインスリンの分泌が遅かったり、少なかったりする人が多いと言われています。

糖尿病の発症の原因となる危険因子には、過食、肥満、運動不足、飲酒、喫煙、運動不足、ストレスなどがあります。遺伝的にインスリンが弱い体質に、これらの危険因子が重なることで発症するのです。

以前は中高年層の患者が多かったですが、食事の欧米化や慢性的な運動不足などの影響で、最近では若年層の患者も増えてきています。

インスリンの分泌が多いのに糖尿病?

ここまで見てきた通り、糖尿病の原因となるのは、インスリンの働きが悪いことです。

それなのに、病院の診断で「インスリンの分泌が過剰なので糖尿病の可能性がある。」と言われたことがある方もいらっしゃると思います。

インスリンの分泌が多いのに糖尿病とは不可思議に思われるかも知れません。

実は、インスリンの分泌が過剰に多いのは、インスリン受容体の感受性が悪いために、十分なインスリン量があるにも関わらず、身体がインスリン不足と勘違いして、更にインスリンを分泌してしまうためなのです。

このように、糖尿病にはインスリンの働きが大きく関わっていますが、インスリンを受け取る側の働きも大変重要なのです。

インスリンの働きまとめ

  • インスリンは、身体が糖を細胞内に取り込むために不可欠なホルモンである。
  • インスリンの働きが悪いと、糖が血液中に溢れ、血糖値が高くなる。
  • 血糖値が高いことは、糖尿病の結果であって、原因ではない。
  • インスリンが分泌されていても、細胞がインスリンに反応しない(インスリン感受性が悪い)と血糖値が高くなる。
  • インスリン感受性が悪いと、インスリンが過剰に分泌される。インスリンが過剰分泌だと糖尿病と疑われる理由である。

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